剣と盾 第3話


…最初は走馬灯だと思っていた。
その次に考えたのは、生きあがいた結果どうにか生き延びたが、からだの損傷が激しく、昏睡状態となり、長い夢を見ている可能性。
あるいは何かしらの理由で、ロイドとセシルを中心としたメンバーが、スザクを騙している。過去のように見せかけた場所を作り、小道具を用意し、何かしらのデータをとろうとしているというもの。
色々考えてみたが、どれもこれもあり得ない。
それに、精神鑑定を受けている途中から漠然と「ここは過去だ」と理解していた。これだって、普通に考えればあり得ない話だが、神と呼ばれる存在を見るまでは「神などいない、あり得ない」と思っていたし、C.C.に会うまでは「不老不死など夢物語だ」と思っていた。ギアスにしてもそうだ。あり得ないと思う異能は存在し、不可能を可能としていた。記憶の書き換え、体感時間の停止、絶対遵守。これだけのものが実在していたのだから、過去に戻るというファンタジーも起きうるのだろうと納得した。
ルルーシュは神に「明日がほしい」と願った。
その明日を、未来を紡ぐ役目をもったゼロを、神が守ったのかもしれない。
ゼロレクイエムによって、世界から戦争は消えた。
完全にとは言えないが、世界唯一の軍隊相手に戦争をしかけるものはいない。
そんな無謀なことを行う人物もういない。
だが、小さなテロや暴動は今もあるし、現にゼロは自爆テロによってあの状況となったのだ。世界平和に対する敵というよりも、その多くはブリタニア帝国の再建と皇族制度を、いや、貴族制度を含めた特権階級を取り戻し、世界を再びブリタニアの手に。と望む旧制度にしがみつく元貴族と、奇跡的に生き延びた皇族を旗頭とした勢力で、それらは驚異とは言えないが、m放っておけるものでもなかったので、シュナイゼルがその力を徐々に削ぎおとしているところだった。

超合集国の思想と黒の騎士団のやり方は、人によっては力による圧力だと、自由のない世界だという。各国の発展を阻害しているというもいる。ブリタニアに武力を戻さなければ戦争は起きない。だからブリタニア以外の国には一定の軍事力を持たせるべきだという声も上がっていた。
それらを押し止めたのはゼロ。
支配者が悪逆皇帝からゼロに変わっただけだと言うものがいたが、それを押し止めたのは世論。
危ういバランスではあったが、それでも世界はゼロを柱とし保たれていた。
その柱を失えば世界がどうなるか。
また、戦乱の世に戻る可能性がある。
世界の平和のためにも、今すぐ戻らなければと焦りはしたがそれは最初だけ。
シュナイゼルたちがいれば、すぐに新たなゼロを用意するだろう何せ、 ゼロの死は今回が初めてではない。ゼロは二度死に、再び姿を現した。三度目の死さえ乗り越え、再び人々を導くだろう。自分は、英雄ゼロという存在を完成させるためのパーツにすぎないのだから。ナナリーとカグヤがいれば、間違った道は…多分歩まない。戦争のない優しい世界はすでにあるのだから、それを維持するにはどうすればいいか彼女たちはちゃんと答えを出すだろう。

ならば、自分はこの時代で生きよう。
フレイヤによる大量殺戮も、行政特区で惨劇もまだ起きていないこの時代で。
世界から戦争はなくせる。それは実証された。答えは、すでに見た。ルルーシュのやり方が、過程が正しかったとは言えないが、彼が導きだした結末は正しいものだった。人びとが望んだ優しい明日は夢物語ではなく、実現することが可能な現実だった。 戦争ではなく、平和のために協力しあい前進する世界。
皆が手を取り合い、明日を迎える世界。
もし、そこに至る過程を正しいものに変えることができれば、もっといい未来が訪るのではないだろか。少なとも、行政特区の虐殺とフレイヤを止めることはできるはずだ。
僕たちは常に敵だった。
同じ未来を望みながら、進むべき道は異なり、だから殺しあった。
その未来を、変えることが今ならできるのだ。
何度悔やんだだろう。
ユーフェミアの死を。
フレイヤによる破滅を。
そのすべてに関わる場所にいながら、何一つ止められなかった。
でも、今はそのすべての答えを持っている。
ユーフェミアが死ななければ、フレイヤは生まれない。
ルルーシュが、黒の騎士団に裏切られることがなければ、悪逆皇帝は生まれない。
ユーフェミアとルルーシュの目指すものは同じなのだから、二人が手をとれば惨劇は回避できる。もっと理想的な方法で、明日を迎える道に進ことができる。
自分に何がどこまでできるかわからないが、思い描く理想の未来のために、生きる。

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